地域の見守りが必要な高齢者などのお宅を訪問し、声かけを行う。地域の企業が社協と連携して行っている活動で、これまでにない新たな取り組みの成果を紹介します。
ゴミ収集車でパトロール生活サポートとゴミ出しも支援
企業のCSR(社会的責任)活動に関する取り組みが広がる中で、和束町では一般廃棄物の収集運搬とリサイクルを行う株式会社大北リサイクルが、町社協と連携してお年寄りの見まわりパトロールを実施しています。
家庭ごみの収集がある毎週木曜日に、大北リサイクルの従業員が「見まわり巡回員」として、事前に申請した高齢者や障がいのある方のお宅を訪問し、玄関先での声かけやゴミ出しなど暮らしをサポートする活動です。活動後は町社協に報告書を提出し、利用者の様子を知らせています。利用者の異変に気付いた場合や相談を受けた場合には、すみやかに町社協に報告し、社協が本人に確認する仕組みになっています。
見守りで広がる暮らしの安心と地域のつながり
和束町では家庭ゴミを集積場まで持っていく必要があり、山間部に住む高齢者にとっては暮らしの不安の一つとなっています。こうした背景の中で、地域展開型のCSR活動を模索していた大北リサイクルが、町社協に相談してゴミ出しを兼ねた見守り活動の実践を決定。活動をはじめるにあたって、従業員は地域の特性や高齢者との接し方、言葉づかいなどを学び、2009年3月に活動をスタートさせました。
利用を申請された方には、事前に社協職員と大北リサイクルの従業員が訪問し、活動内容を説明します。社協はパトロールカレンダーを配布、その際に住民のニーズを聞き取っています。また、ケアマネージャーや地域包括支援センターとも連携して、利用希望者の掘り起こしも行っています。
企業の社会的イメージアップと従業員の士気向上の効果
「この取り組みを初めて6年目。当初は挨拶もぎこちなかった従業員が、利用者との会話でちょっとした変化にも気づくようになりました」と、大北リサイクルの前出一也さん。利用者に「いつもご苦労さん、あんたも気をつけや」と逆に励まされて元気をもらうことも多く、従業員のやる気と責任感が高まっているそうです。
大北リサイクルは、町内の清掃活動など、見まわりパトロール以外でも社協と情報交換する機会を持つようにしているとのこと。「他にも地域福祉に携わりたいと考えている企業はあるはず。社協の働きかけが増えれば、別の新しい取り組みが広がると思う」と、前出さんは実感を込めて話しています。