〜今日はスマイルプレイスの日!〜
坂道を上った先にある円明寺ヶ丘自治会館に親子が続々と集まってきます。
今日は親子サロン「スマイルプレイス」の開催日です。広々とした和室には、おもちゃで遊ぶ子どもたち、おしゃべりを楽しむお母さんたちがいました。
おもちゃが広げられたスペースの横には机が並び、机の上にはマスキングテープや今年の干支であるネズミなどお正月をイメージした画用紙の飾りなどがありました。これらは、今日の企画である「アルバム制作」に使うものです。「アルバム制作」は希望者を対象に、保護者の方が持参した子どもの写真、もしくは当日チェキで撮影した写真を使い、手作りのアルバムを作る企画です。取材日もぬいぐるみを片手に子どもをあやしながら、お母さんと子どもさんの写真を撮るスタッフの姿がありました。
「子どもが成長した時に、子どもが手に取って見ることが出来るものを作ろう!」という思いを持って、実施しているアルバム制作は子どもの自尊感情を育むだけでなく、親の子育てに対する気持ちを前向きにする役割もあるそうです。
可愛いアルバムになるように飾りをたくさん用意されていますが、先ほど紹介したお正月をイメージした画用紙の飾りはスタッフによる手作りです。画用紙などで季節に応じた飾りを作成しているのがこだわりとのことでした。
そんな可愛い飾りを使いながら子どもと一緒にアルバムを作るお母さんやおもちゃで遊ぶ子どもの側で井戸端会議のように話をするお母さんなど、皆さんが思い思いの時間を過ごしていました。
そんな場づくりに創設当初から関わり、現在もスマイルプレイスの代表として活躍されている幸山 由佳さんに活動のきっかけや活動に対する思いなどを伺いました。
〜スマイルプレイスから広がった子育て支援〜
幸山さんは地元の社協の活動で出会った方から誘われたことをきっかけに、この活動に関わり始めたそうです。
スマイルプレイスが誕生した当時、大山崎町には子育て支援センターなど子育てに関する社会資源が多くはない状況でした。そんな中、スマイルプレイスのことを一人でも多くの人に知ってもらうため、広報誌の掲載や保健センターなどでスマイルプレイスの取組を発信するなど、活動者と活動内容を知ってもらうことを大切に活動されてきたそうです。そんな広報活動が実を結び、最初は9組だった参加者が次の回では23組になりました。現在も町広報「おおやまざき」やFacebook、ブログなどSNSを通じた発信を積極的にされています。
また、幸山さんには今でも印象に残っている新聞記事があるそうです。それは、「当事者ではない第3者の視点があることで団体活動が上手くいく」という様な内容だったそうです。幸山さんは子育てを卒業した今でも様々な保護者の方が集まれる場づくりに関わっておられます。
そんな第3者の視点はスタッフの皆さんにも息づいています。皆さんは元々「参加者」として、スマイルプレイスに通っていましたが、子育てが落ち着き、今度は「スタッフ」として活躍しています。「そんな風に仲間が増えていくことはとても嬉しい!」と幸山さんは笑顔で話してくれました。
取材中もスタッフがお母さんたちの輪に入り、お母さんたちの話に耳を傾けていました。子育てについて同世代のお母さん同士だけでなく先輩のお母さんとも交流することは、孤立しない子育てにつながっているのではないかと感じました。
また、参加している子どもたちを見ると、ほとんどが0~2歳までの子どもたちで、最年長は5歳の子でした。「就園前の子のお母さん同士のつながりはなかなか作りにくいですが、その前にもつながりを作れるように、歩く前の子どもたちでも安心して集まれる場を大切にしています。」と幸山さんが教えてくれました。
畳のフラットな空間で、子どもたちはのびのびと楽しそうに遊んでいました。お母さんだけでなく子どもたちにとっても、年齢に関わらずたくさんの友だちができる場になっているのではないでしょうか。
〜子育て経験を活かした魅力的な企画の数々!〜
スマイルプレイスでは様々な講座やイベントも実施されています。「産後ケア講座」や「ヨガ」などお母さんたちが学び、リフレッシュできる企画はもちろん、「夫婦のパートナーシップ講座」などお父さんも一緒に参加できる企画も積極的に展開しています。また、大山崎町社協と共に「多世代交流クリスマス会」など、地域の高齢者の方々と子育て世代が交流する場も実施しており、どの企画も盛況です。企画は幸山さんを中心にスタッフの皆さんで考え、「こんなものがあったらいいな」という思いを大切に企画されているそうです。
また、親子サロンでは自由に遊びやおしゃべりを楽しむだけでなく、スタッフによる絵本の読み聞かせや幸山さん手作りのお菓子を楽しむ時間など、参加者全員で交流し、お母さんたちがホッと一息つける工夫もされています。
「参加者からの『楽しかった!』や『美味しかった!』という声がやりがいになる」と笑顔で幸山さんは話されました。
子育てを経験してきたからこそ分かる子育て世代の気持ちに寄り添った企画が、たくさんの方の参加につながっているのだと感じました。
〜地域みんなで子育てを!〜
幸山さんは今後の目標について、「子育てをはじめいろんなことを『自己責任』で捉えるのではなく、互いに思いやりながら暮らせる社会になってほしい。」と話されました。
また、子どもが幼少期のうちに幸せな経験を積むことで、子どもの自尊感情が育まれ、将来的に精神的しんどさを抱えることが減り、引きこもりや8050問題などの課題を防ぐことにもつながるのではないかとも話されました。
子どもやお母さんだけでなく、お父さんや地域の高齢者の方など様々な人たちが混ざり合う講座やイベントを実施している背景には「子育ては全ての人に関わるものだと理解してもらいたい」という幸山さんの強い思いがありました。
スマイルプレイスの活動から、地域みんなで子育てに取り組む地域づくりが広がってほしいと思いました。