70歳以上の高齢者のお宅を訪ねて、話し相手となるボランティア活動が、大山崎町で10年以上も続いて行われています。
思い出話、趣味の話 楽しく話して過ごそう
12月のある月曜日の午前10時半より少し前、2人の女性が白い息を吐きながら、自転車で住宅街を走っていきます。彼女たちは、大山崎町社協のボランティアグループ、おはなしいきいきボランティア「ぴんぽ~ん」のメンバーで、これから利用者宅を訪ねるところです。
グループ名よろしくピンポーンと玄関のチャイムを押すと、「さぁ、中へどうぞ!」と岩元妙子さんが扉をあけます。20代で故郷の九州を離れ関西の企業に就職して以来、岩元さんは大山崎で一人暮らしをしているそうです。「長年親しんできた大山崎で、これからも暮らしたい。兄弟は遠く離れた九州にいるから、いざというときのため、地元の知り合いを増やしたくて」と、依頼の動機を話してくれました。昔から書きためている短歌や、会社員時代の思い出話を披露するなど岩元さんの豊富な話題に、ボランティア代表の柿木アツ子さんも楽しそうに耳を傾けています。
直接会って話ができる相手の喜ぶ顔がやりがい
「ぴんぽ~ん」の活動が始まったのは2004年。前身は電話で傾聴活動を行うテレホンボランティア「さくら」、そこから「直接会ってお話しができる団体もつくろう」と「ぴんぽ~ん」が生まれました。
「私は、相手の喜ぶ顔が見えることにやりがいを感じていますが、依頼する人にとってはそれぞれにメリットがあると思います」とボランティアの一人である深井忠義さんは言います。「ぴんぽ~ん」は偶数月に大山崎町社協で「全体会議」を開催し、ボランティア全員で利用者の状況確認や情報交換、ボランティアの予定の調整や交流などを行っています。
利用者の異変を感じたらすぐに社協に報告
「ぴんぽ~ん」のボランティアは、現役のボランティアメンバーに誘われて加わった人や、大山崎町の広報紙を見てきた人などさまざまです。しかし、加入した時に社協による説明を受け、初めての活動には、社協の担当者が同行します。「最初の説明では、傾聴だけではなく、不在時や緊急時の対応方法などについてもお話しします。また、異変を感じたら報告するよう頼んでいます」と話すのは、ボランティア担当の上田洋子さん。
現在の利用者は5人。多くはケアマネージャーを通じての依頼ですが、本人や遠方の家族が「何らかの見守り方法はないか」と社協に問い合わせ、利用に至っているケースもあるそうです。