向日市社協では、2012年度から地域福祉推進の重要なテーマとして“ご近所福祉”を掲げ、地域住民と協働の取り組みを推進しています。
ご近所で顔の見える絆づくりを
“ご近所福祉”とは、昔でいう「向こう三軒両隣」の現代版です。昔のような「お味噌を借りる」、「留守を頼む」のようにはいかなくとも、この時代にあったご近所付き合いを考え、敬遠しがちな地域の「しがらみ」を、ちょっとした気遣いができて顔が見える関係(=絆)に再構築しようとしています。“ご近所福祉”という「コンセプト」を明確に打ち出すことで、「地域でつくる福祉」のイメージの共有化を目指しています。
放っておけへんやん!力強い “世話焼きさん”の存在
市社協が地域の懇談会などで参加者に身近な助け合いを尋ねると、「何か困ったことが起きた時に地域の人に『助けて!と言える』人」は5%、「助けて、と言われたら『助ける』人」は95%。このことから、「困り事があっても助けて!とはなかなか言いづらい」こと、その一方で、「ちょっとしたことなら助けられると考えている人が多い」ことがわかりました。確かに、地域住民の中には、福祉の肩書き等が何もなくても、困った人がいたら「放っておけない」と目配り、気配りし、何かしらのお世話をしている人達(=いわゆる“世話焼きさん”)がいて、その方たちに支えられて生活している人がいるのです。
“ご近所福祉”の推進には“世話焼きさん”の存在が欠かせません。かつて、ある「ゴミ屋敷」で起こった緊急事態を発見し、専門職に繋げた奥島惠子さんは自他ともに認める“世話焼きさん”。「困っているのに、誰に相談したらいいか分からない人が多い。自分から“助けて”と言える環境も広げていきたい」と話し、「支え上手」な人だけではなく、「支えられ上手」「つながり上手」な人が増えることに期待を寄せています。
ゴミ出し、ラジオ体操、サロン活動多様な実践の拡がり
お年寄り宅の朝の「ゴミ出し」をご近所住民が担う取り組みは、5分程度の“ついで感覚”でできる“ご近所福祉”活動の一例です。現在、向日市全域で31件のマッチングに成功しています。他にも、朝の「ラジオ体操」は、一人暮らしの方の安否確認へと繋がり、近所づきあいも広がると好評で、11町内会で取り組まれています。お年寄りや町内の催しには関心が薄いといわれる男性たちの積極的な参加がみられるのも特徴の一つです。
また「ふれあいサロン」には、近所の“世話焼きさん”たちが“放っておけない”人たちを誘い、交流を図りながら見守りを実施しています。地域包括支援センターの担当者等の参加もあり、健康教室等が人気です。専門職にとっては地域の現状やニーズをキャッチする場にもなっているようです。