京都府で唯一の村である南山城村。村社協の「外出支援サービス事業」は運転ボランティアに支えられ実施しています。
山間地ならではの困りごとに応える
南山城村は、約4分の3が山林で占められており、軽自動車がかろうじて通れる山道が多い山間地。商店や病院も少なく、隣接する三重県や奈良県まで足を伸ばす人が多い地域です。しかし、電車やバス等の公共交通機関も十分ではないため、足腰が弱まり歩行が困難になっている方や車を運転しない高齢者にとっては、“移動手段がなく、通院さえままならない”ということが大きな困りごとでした。そうした背景から、病院への送迎等を主とした「外出支援サービス」が誕生し、現在15名の協力会員(通称:運転ボランティア)が活躍しています。運転者講習会を欠かさず交通安全に努めていることはもとより、運転ボランティアと社協が「送迎会議」(月1回)で活動内容を確認・協議し、より良い活動になるようにと地道な取り組みをすすめています。年間送迎回数1076回、活動時間2178時間、延利用者数375名。送迎車両はほぼフル回転状況が続いています。利用されている方からは「外出が気分転換になる」「家族には負担をかけらないから助かる」という感想が多く寄せられ、大変喜ばれています。
外出支援のその先に
活発な外出支援サービスの現状を見聞きして、高尾地区より「買い物に行けなくて困っている人がいる」というSOSが入りました。高尾地区は茶畑が広がる急斜面の土地に家が散在し、バス路線からも離れているという特に交通アクセスが不便な地区。そこで、運転ボランティアと社協高尾支部と村社協の3者がアイデアを持ち寄り「買い物ツアー」を企画することになりました。参加者のとりまとめは支部長が高齢者宅を直接訪問して調整。運転は運転ボランティアが務め、社協は公用車を貸し出すという仕組みです。車の定員の関係上、1回につき参加できるのは5人まで。運転手と付き添いの介助ボランティアを含め総勢8人での「買い物ツアー」は、往きの車中からお互いの近況報告等に花が咲き、大変賑やか。事前に買い物リストを作るほど楽しみにしている方も。何気ない会話の中でポロっと本音が出ることもありお互いの生活の困りごとを共有する場にもなりつつあります。初回の取り組みが大変好評で、要望に応えるかたちで2014年10月からは毎月1回の開催を継続しています。この高尾地区の「買い物ツアー」は、外出支援サービスが基盤となって、そこから一歩先の活動につながった事例ですが、村では、他地区でも「買い物ツアー」が必要かもしれない、村外への「買い物ツアー」によって村内の商店に影響はないだろうか、地元商店の活性化につながることはできないだろうか…といった面からの新たな検討も始まっています。今後の展開に注目です。