発足からわずか1年で延べ2600人以上も来場したサロン、このあらたな地域の拠点が、住民をつなぐ大きな役割を担っています。
夢を叶える合言葉は、「とりあえずやろかいな!」
京丹波町内でも高齢化率が高い竹野地区。竹野小学校の全校児童は30人程にまで減少し、着実に過疎化と少子化、高齢化が進む中で、2013年6月に竹野地区の9つの集落が手を結び、「竹野活性化委員会」が設立されました。
この住民自治組織は、体育部会・文化部会・産業部会・サロン部会の4部門で構成され、体育部会では小学校の子どもたちと地域住民による合同の運動会の実施、また、会員の得意分野を活かし、地域の子どもたちの様子やイベントをショートムービーにして地元のケーブルテレビで発信するなど、多様な取り組みを行っています。サロン部会では2013年10月に、「みんなで気軽に集まって、おしゃべりできる場所を」と「竹野サロン」を開設。もともとこの地域で活動していたボランティア組織「ほほえみの会」のメンバーが中心となり、喫茶室を備えたサロンが運営されることになりました。
ゆっくり過ごせる喫茶は日常の情報交換の場
「こんにちは!」と受付で声をかけるのは、サロン部会長の徳岡信男さん。「毎週この日を楽しみにしています」とにっこり笑う参加者は、飲み物を手にゆったりとおしゃべりを楽しんでいます。
喫茶室で提供するのは、コーヒーと紅茶、それに特産の黒豆茶。お茶を冷めにくくするためにカップを煮沸して提供するなど細やかな気配りも。喫茶長の滝村咲子さんは、「農閑期には家にこもりがちになるお年寄りも多く、サロンに通うことが家から出るきっかけづくりになればと思います。私たちの目的は、いつまでも元気で通ってもらえること」と言います。
週1回の参加者は平均56人。男性の参加も多く、囲碁や将棋、農作業の話など情報交換の場にもなっています。ちぎり絵や写真などの作品展示、隣接する広場でのグラウンド・ゴルフ、会報誌「竹野サロン」の発行など、魅力あるサロンを目指して徳岡さんやほほえみの会のメンバーが工夫を凝らしています。ちぎり絵講師の山本愛子さんは、「サロンに作品を展示することが、みなさんの励みになっているようです」と話します。
子どもたちによる「盛り上げ隊」サロンで世代間交流
竹野小学校の児童たちによる出前発表の日のサロンは、一段と賑やかになります。合唱やリコーダーの演奏、手遊びが披露され、子どももお年寄りも笑顔が絶えない時間が流れます。子どもたちは「竹野サロン盛り上げ隊」を結成し、「サロンの一日店長」といった企画や展示を考えるなど運営の一役も担っています。世代を超えた交流の場となり、子どもたちにとっても大切な場所として根付いてきています。
徳岡さんは、「この地域は、産業も観光もない。だけど、人のつながり、交流がある」と、人と人がつながって地域が着実に変わりつつあることを実感しています。