活動のきっかけ
平成23年12月、亀岡市が京都府の事業であった「亀岡市セーフコミュニティ高齢者見守り支援事業」を実施することになりました。
当時の役員の「声掛けや見守りも実施して、何かあったときに支え合えるようにしよう!」という思いから、自治会と保津町社会福祉協議会が一緒に取組みを始めたことが、活動のきっかけでした。
保津町内には8区あり、さらに各区に班(1~12)があります。各班の班長が中心となり、自治会費や共同募金等の協力費を徴収依頼するときに、ひとり暮らし高齢者を中心に見守り活動をスタートさせましたが、時間の経過とともに、地域の気になる方に声をかけるようになり、今では全世帯を対象とした見守り声掛け活動に発展しました。
見守り体制の構築
班長が家を訪問した際に気になったことがあれば、その情報が区長に報告されます。
区長は、報告を受け、屋内の状況把握が必要と感じた場合は、その方の家族に緊急連絡を行う体制がとられています。
家族に連絡がつかない場合は区長、民生委員、警察、救急隊と連携し安否確認を行っています。
加えて、区長全体会議での状況共有や、関係者に見守り活動の際に用いるチェックシートの情報提供を行うなど隣近所で支え合うことを大切に、活動を進めています。
このような体制を支えている背景に、昔は「隣組」組織であったものが、今は「自治会の班」となり、相互扶助の精神のもと家族のように感じ合い、互いに支え合う枠組みとして存在します。意識したものではなく永年の間に熟成されたこのような精神が、半世紀を経た今も保津町に根付いています。
活動内容
月4~5回の見守り活動では、民生委員と一緒に訪問したり、手渡しで配布物を渡すなど様々な工夫を凝らしながら、住民の安全と生命を支えています。
しかし、それだけでなく、年間の行事ごとの活動も活発です。
10月には、社協、自治会、民生委員で鉢植えを作成し、ひとり暮らしの高齢者世帯にお渡しする「花いっぱい運動」を実施されています。この運動では、鉢植えを渡す際に声を掛け合うことを大切にしているとのことでした。
12月には亀岡市社協と友愛訪問活動。3月にはお彼岸前の地域清掃が行われます。地域清掃では不参加だった方へ声かけに伺っているそうです。
このように日頃からの見守り活動のみならず、地域で開催される1つ1つの行事を通じて「気にし合う」文化が培われています。
住民の声をカタチに
4年前には地域での困りごとを把握しようと、町民を対象にアンケートを実施し、一番多く意見が出されたのが、「居場所」と「送迎支援」の課題でした。
そこで、住民の声を形にすべく、「ちょっとよろうかいな」サロンを、区ごとに平成27年からスタートしました。このサロンでは決まったプログラムはなく、毎回の参加者が気軽に集える場として開催されています。
現在では、月1回開催し、毎回10人程度が参加され、井戸端会議型サロンとして住民の憩いの場の役割を果たし続けています。
さらに、平成29年度より、送迎支援を試行開始し、保津町社協の役員4人が自家用車で無償の送迎支援を展開しています。
当初、利用者は6人でしたが、今現在9人の方が利用され、買い物や通院等の困りごとに対応されています。
長尾 繁保津町自治会長が「保津町は山手で傾斜がある町でバスも入って来られない地域があるんだよ。高齢の方は坂道の昇り降りが大変だ。何とかしてあげたいという気持ちで成り立っている活動だよ」と教えてくださいました。「何とかしてあげたい」という気持ちを胸に、住民の困りごとを解決すべく今日も奮闘されています。
私にとって、この活動の意味そして今後の目標は
長尾自治会長は、「支え合いが何よりも大事」とつぶやかれました。続けて、「地域がだんだんと疎遠になっていく時代だからこそ、昔からの人と人の支え合いが生かされた文化を大切にしながら、活動を継続していきたい。その中で、活動を住民に広く知ってもらい、『お手伝いしようか』と言っていただけるように、地道にこの活動を続けていくのが使命だと思っている。」とメッセージをいただきました。
上田伊佐男保津町社会福祉協議会会長からは、「地域の力が大事。特に保津町が培ってきた隣組の助け合う精神を大事にしていきたい」と地域の力の重要性をお話ししていただきました。